今日の翻訳作業内容をアップします。
隙間時間での小分け作業ですので、ページめくりが面倒でもご勘弁願います。
日本国憲法にも前文はありますが、中国憲法の前文は見方によっては面白いです。国の違い、思考の根幹にある違いや矛盾とか、見えて来るような気がしませんか?
中国市場にかかわっているビジネスマンじゃなくても、この分野専門の学生や研究者じゃなくても、中国に長期出張や移住する関係者じゃなくても、一見の価値があります。
前文
中国は世界において、最も悠久な歴史を持つ国の一つである。中国諸民族の民は輝かしい文化を共に創り出し、栄えある革命の伝統を持っている。
封建的であった中国は、1840年より次第に半植民地・半封建的国家に変遷して行った。中国人民は国家の独立、民族の解放並びに自由民主のために、前者が倒れても後者がそれに続いて突き進み、勇敢に闘い続けてきた。
20世紀の中国には天地を覆すような偉大な歴史的変革が起きた。
1911年、孫中山先生が指導した辛亥革命は封建帝制を廃止し、中華民国を創立した。しかし、中国人民の反帝国主義と反封建主義の歴史的任務は未完であった。
1949年、毛澤東主席を領袖とする中国共産党は中国諸民族の民をリードし、長き苦しい且つ波乱に満ちた武力及びその他形態の闘争を経て、ついに帝国主義、封建主義及び官僚資本主義の支配を覆し、新民主主義革命の偉大な勝利を獲得し、中華人民共和国を設立した。之により、中国人民は国家の権力を握り、国家の主人公となった。
中華人民共和国の成立後、我が国の社会は次第に新民主主義から社会主義への変遷を実現していった。生産財の私有制から社会主義への改造は完了し、人が人を搾取する制度は既に消滅し、社会主義制度は確立された。労働者階級が指導する、労農同盟を基礎とした人民民主による政治支配、実質上のプロレタリア独裁は強固になり、発展を遂げた。中国人民と中国人民解放軍は、帝国主義と覇権主義の侵略、破壊と武力挑発に打ち勝ち、国家の独立と安全を守り、国防を強化した。経済的建設において大きな成果を収め、独立した、比較的整った社会主義産業システムがほぼ形成され、農業生産が著しく向上した。教育、科学、文化等の事業は大きな発展を遂げ、社会主義思想教育は顕著な成果を収めた。広範な人民の生活は比較的大きく改善された。
全文ファイルは訳文修正後に掲載する予定ですので、ビジネス用にダウンロードできるリンクを最終ページに載せます。
続きの内容は、それぞれ下記リンク先にあります。
● 中華人民共和国憲法-前文(下)
その他条項の詳細内容は下記リンクからお入り下さい。
さて、今回の翻訳部分において、かなり気を遣って翻訳した語句が幾つか存在しています。その中の一つに「~前者が倒れても後者がそれに続いて突き進み~」と言うのがあり、原文は「前仆后継」と言う四字熟語です。この言葉の訳し方については、かつて中国支店の同僚たちとお酒の席で話題となり、印象が強かったので今でも良く覚えています。
中国語の「仆」は古代身分制度において下僕や奴隷の男性が自分の事を言う時に使い、主の前では常に前向きに腰を折り曲げ、頭を上げられない様子から来ている漢字です。故に前のめりに倒れる意味に流用され、戦争や武力闘争では「(前のめりの姿勢で突進する仲間が着弾してそのまま前方に倒れた)屍を乗り越えて突き進む」と言う意味になり、実際幾つかの辞典でもそう掲載してあります。死をも恐れず勇敢に猛進する壮烈な行為として、革命時代には良くこれを耳にしました。先駆者を乗り越えて突き進め、立ち止まるな、考え込むなと若者は煽られてしまいますね。
しかしあくまでも言葉の一つであって、使い方次第で意味合いも変わります。一企業で例えるなら創立者の後を子孫が事業を継いで行く意味にも、ある目的に向かう一組織の中で卒業する者に対してその意思を継いで目的に向かう意味にも使えます。そんな時に「屍を乗り越えて突き進む」と訳しては、不適切だと考えます。
今回のような憲法の前文として使われている「前仆后継」も、「屍を乗り越えて突き進む」と訳すのは、どうでしょうか、グロいですね~w まぁ、言えるのはこれくらいです。人によっては、もっと色んなイメージを感じられることでしょう。
ここで、絶対的権力を象徴する憲法だから、政治だから、オブラードに包んだ表現の仕方で言葉を選びました。ビジネス最前線の皆さん、通訳と翻訳の資質はこの辺で見極めてください。言葉の一つ一つの積み重ねで、あなたのビジネスは成功するか、不発に終わるか、あるいは失敗する恐れもあるのです。
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